第26章 色を失ってゆく
「どうしたのだよ、黒子」
突然立ち止まったテツ君を訝しげに真ちゃんが見る。
「生徒手帳です、先程すれ違った高校生の人たちの。多分隣の第一体育館に行っていると思います。戻って届けてきてもいいですか?」
「わかった。この後ミーティングだ、早く戻れ。桃井も一緒に着いていってくれ」
「あっはい」
「遅くなるようなら連絡を」
征十郎に言われ、さっちゃんはテツ君と一緒に第一体育館の方へと戻って行った。
「相変わらず真面目だよねー。黒ちんのことだからどーせ色々言ってくるとは思ったけどー」
二人が行った後、あっくんが言った。
おそらく彼がテツ君を真面目と言っているのは、生徒手帳を届けに行ったことではなく、試合のこと。
「黒子っちだから仕方ないッスよ。あーゆー遊びに関して理解なさそうだし」
…理解がない?
違うでしょ。
理解がないのはあんたたちじゃない。
「(バスケを…なんだと思っているの…?)」
少しずつ怒りが溜まっていき、私は立ち止まる。
「っと。どーしたんスか、藍川っち。急に止まったら危ないッスよ」
「誰が言い出した」
「え?何て?」
突然立ち止まった私に、黄瀬が後ろからぶつかる。