第26章 色を失ってゆく
「……」
「黒ちん、どーかしたー?」
試合終了後、会場を後にしていた私たち。
先程の試合のことはテツ君だって間違いなく気づいている。
だって様子がおかしいから。
「今日の試合…何故あんなことをしたんですか?僕は何か…違う気がします」
ほら、やっぱり。
あなたならそう言うと思っていたわ。
私はそのやり取りを皆の前を歩きながら聞いていた。
「何言ってんスか、黒子っちー。遊びッスよ遊び!つまんない試合をちょっとだけピリッとさせるスパイス的な?」
「でも…あんなやり方は相手に失礼だと思います…!」
私は、これをも見逃さなければいけないんだ。
テツ君に感化されてはダメ…。
唇を強く噛みながら、自分の中から出てくる感情を押さえつけた。
「何でだよ、逆じゃねーの?テツだろ、手ぇ抜くのはよくねーみてーに昔言ったの。だから雑魚相手にも少しはやる気出すための遊びじゃねーか。なー緑間」
「ふざけるな。俺は参加した覚えはない」
「勝ったんだしいーじゃねーか。奢ってもらっとけよ、黄瀬に」
そうよ…。正しいのは皆。
征十郎も何も言わずに参加していたんでしょ?
だったら何も間違ってない。