第25章 行ってらっしゃい
しかし優ちゃん曰く、他の人の目は誤魔化せても私の目は誤魔化せない、らしい。
「二年生の二学期からだったかな…。いつ見ても苦しそうで、何か悩んでるんだな、ってすぐに分かったよ。でも私、何て声を掛けたらいいのかわかんなくって…。それなのに華澄はどんどん痩せていく、っていうか窶れていくし、ホント人形みたいで…」
「そんなことないわよ」
「ううん!私、ホントに華澄のことが心配なの!人づてにバスケ部のことも少し聞いた。原因はそれなんだよね?!」
「!」
私は思わず目を見開いてしまった。
私たちからしてみれば大きく変わったことは事実だけど、部外者には何が変わったのかなんてわかるような人はいない、と以前真ちゃんが言っていたから。
まさか優ちゃんが知っているなんて思いもしなかった。
「…ううん。原因は全て私なの。バスケ部は関係ないわ」
半分嘘で、半分は本当。
「嘘つかないでよ。もっと特定して言えば『キセキの世代』なんでしょ?」
「彼らは関係ないわ。どちらかと言えば彼らは被害者だもの。私は…加害者よ」
私が俯きがちに言うと、優ちゃんは目に涙を浮かべて言った。
「華澄にはもっと自分のこと大事にしてほしいよ…。私は詳しく知らないし、当事者にしかわからないことだっていっぱいあると思う。だから『華澄は悪くないよ』なんて簡単には言えないけど、それでも私には華澄だって被害者の一人にしか見えないよ…」
そう言いながら、優ちゃんの目からは涙が零れ落ちた。
「どうして優ちゃんが泣くのよ…」
「華澄が分からず屋だから!私だって華澄の力になりたいの!もっと笑って欲しいの!!」
「優ちゃん…」