第25章 行ってらっしゃい
今日は始業式だけだったということもあり、午前中のうちに私と優ちゃんは学校を出た。
そのまま私たちは、優ちゃんおススメのケーキが美味しいというカフェへ入った。
「華澄…ケーキ食べないの?すっごく美味しいんだよ?」
「うん。食欲があまりないの…。もしかして女の子のアレの前なのかもしれないわね」
優ちゃんの目の前には美味しそうなモンブランとカフェラテ。
一方、私の目の前にはミルクティーのカップのみだった。
嘘だったけど、優ちゃんを心配させまい、と私は笑って言った。
「…ねぇ、正直に言ってよ。華澄、今体重何キロなの?」
「え?どうしたのよ、急に」
優ちゃんはケーキを食べていたフォークを置き、表情を暗くして言った。
「いいから!身長は何センチ?!ちゃんとそれなりの体重はあるんでしょうね?!」
「……」
答えられなかった。
答えてしまえば、きっと心配させてしまう。
「身長は入学当初から変わらず150センチよ。体重は秘密、かしら」
「笑って誤魔化さないでよ…」
無理に笑い続ける私に優ちゃんは泣きそうな顔を見せた。
そんな優ちゃんを見て、私も流石に心が痛んでしまい、小さく息をついて視線を下げた。
「…拒食症と診断されない程度にはあるわ。だから大丈夫よ」
「そんなの大丈夫だなんて言わないよ。それに華澄、目の下にクマもできてるし…笑ってくれないし…」
クマは毎朝コンシーラーで隠しているつもりだったし、きちんと笑えていると思ってた。