第25章 行ってらっしゃい
桜の季節となり、私が帝光中学校に入学してから三度目の春。
最高学年になり、今年は高校受験も控えた立派な三年生となった。
「…あった。A組ね」
去年の反省を生かし、掲示板前が込む前に自分のクラスを確認しながら、確か去年はあっくんに見てもらったんだっけ…と、もう二度と戻らない過去を少しだけ懐かしんだ。
念のために、とバスケ部の部員のクラスを確認していると、運の悪いことに征十郎と真ちゃん、あっくんと私は同じクラス。
「(あっちゃぁ…そうだったわ。三年生は成績上位者の特進クラスができるんだった)」
嘆いたところで何も変わりはしないので、私は3-Aの教室へと足を進めた。
教室には既に征十郎と真ちゃんの姿があり、さらに互いに出席番号が一番の私と征十郎は隣の席。
「おはよう」
「ああ、おはよう」
短い挨拶だけをして私は席に着く。
以前のように、彼が私に必要最低限以上の会話をしてくることはなくなった。
少し寂しい…とは感じつつも、もうそれも受け入れている。
「華澄っ!」
とある女の子が教室へ入ってくるなり私の名前を呼び、私の机に手をついた。