第25章 行ってらっしゃい
もう私の側にいてくれる人は誰もいなくなった。
「修ちゃん、行ってらっしゃい」
「おう、着いたら連絡するわ」
いつものように私の頭を撫で、それだけ言うと、修ちゃんは久保田先輩たちと一緒に校門を出て行った。
この後、修ちゃんは私の家にある荷物を持って空港へ向かい、午後三時の飛行機で日本を立つ。
本当はお見送りに行くつもりだったが、この後部活がありトップマネージャーの私が抜けていいはずもなく、校門でのお見送りとなった。
でも、それで良かったのかもしれない。
空港まで行っていれば間違いなく私は泣いてしまう。
去っていく従兄の背中を見送って、私は覚悟を決めた。
*
午前一時。
ベッドに横になりながらも、なかなか寝付けなかった私の耳に、メール受信の音が鳴り響く。
『無事に着いた』
修ちゃんからだ。