第25章 行ってらっしゃい
その日の放課後。
いつものように練習をただ眺めながら、私は昼休みのことを思い出していた。
「(…本当に、一体何があったの…?)」
何を聞いても征十郎は教えてはくれないし、何が起こったのかも想像もつかない。
考えたところで答えは出ないことはわかっているが、どうも腑に落ちない。
「ダメダメ…」
余計なことは考えちゃいけない。
私は首を大きく横へ振って、雑念を振り払う。
「カスミン。私、洗濯に行ってくるね」
「あ…ええ。わかったわ」
練習も一区切りついたところで、さっちゃんがそう言って体育館を出て行った。
その場に一人残された私は、特に何もすることはない。
ただ茫然と、淡々と進んでいく練習を見るしかない。
「(…もし…もしも、彼らが怪我をすれば…)」
何の感情もないまま、目の前の光景に目を向けていると、私の頭の中にとんでもない考えが浮かんでくる。
「(選手生命を絶たれれば…バスケをできなくなれば…彼らは元に戻るのかしら…?)」
一見、できるわけもないことではある。