第25章 行ってらっしゃい
あの一件以来、修ちゃんは私の部活が終わるまで学校で待っていてくれ、一緒に帰るようになった。
そして、修ちゃんは卒業までこちらに残ることを決めた。
だが、十二月には伯父さんも伯母さんも、修ちゃんの弟や妹たちはあちらに行くことが決まっていたこともあって、十二月から卒業まで、修ちゃんは私の家に住むこととなった。
「あ、藍川さんだ」
「相変わらず綺麗だなー。今日の俺ラッキーかも。滅多に見れねーし」
「…でも、なんか最近笑わなくなったよな…。なんか人形みてー」
それからの日々は早く過ぎていった。
私は笑い方を忘れてしまい、周囲からは”高嶺の華”に代わり、”人形”と呼ばれ始める。
そんな私はここ最近、授業をサボり、全く人気のない非常階段で物思いにふける事が日常となった。
「(今度の公式戦は…いつだったかしら…。確か、今月末の新人戦だったはず…)」
物思いにふけっている間でも、考えることは大抵バスケ部のこと。
その度に、私の目からは涙が零れ落ちる。