第23章 私を認めて
征十郎に問いかけられるが、私は彼の顔を見ることすらできずに下を俯いたまま。
「何も…。それが最善だと、そう思ったから言ったまでのことよ。それともう一つ征十郎に言っておくことがあるわ」
「…何だ」
「決してテツ君にシュートやドライブを教えてはダメよ。彼をこの先も幻の六人目として使いたいのなら、ね…。理由くらい、あなたが考えればわかるでしょう?」
「……」
征十郎はやはり怒っているのか、腕をつかむ手に力が入る。
「もういいかしら?私、もう帰りた…」
「俺の顔を見ろ」
「……」
いつまでも下を向いたままの私に征十郎は、私の肩をつかんで強制的に征十郎に向かい直された。
「っ!」
「何を泣いているんだ」
泣いてはダメだ。
私が泣いては、私が弱くては皆を守れない。
そう頭では分かっているのに、涙はポロポロと零れ落ちてしまう。
「わ、私だって…あんなこと言いたくなかっ…。でも、そうしなきゃ…皆を守れないから…。白金監督に、託されたから…」
白金監督の真意は最後までわからなかった。
でも、あの監督が私に最後の頼みとして託したのだ。