第23章 私を認めて
次の日から練習は通常通り再開。
修ちゃんたち三年生が抜けたことで、二軍から新しく十名ほど昇格しての再開だった。
「あっ」
才能が開花した大ちゃんは向かうところ敵なし。
練習でも、簡単にDFを抜き、あっくんにパスを出す。
「おおっ、だがヘルプも早い!」
ここは…パス、かしら。
と考えていた私の予想は、いとも簡単に崩れ去る。
「え?」
…!?
「うおっ!?」
「うおお、ナイシュー」
あっくんが、スピンでかわした…?
いや、でも。あっくんはそこまでスピードは速くないはずなのに…。
「ちょっ…紫原っち、今のスピン相当早くないッスか?そんなことできたんスか!?」
「んー…そう?テキトーにやっただけだけど…けどなんかー…力が湧いてしょーがないんだよねー。本気出したらつい味方でもヒネリつぶしちゃうかもしんない」
「…へぇ」
嘘…、あっくんまで…?
「おいお前!」
黄瀬とあっくんのやり取りの傍ら、大ちゃんは今日一軍に上がってきたばかりの二年生に当たっていた。
「いくらなんでもあっさり抜かれすぎだろーが。もっと気ぃ入れて守れよ!」
「やってるよ…全力で!それより青峰君の方が速すぎんだって!」
「ああっ!?だからって……。っ、チッ」
「青峰く…」
二年生の彼の言いたいことは分かる。
それを理解したのか、大ちゃんは舌打ちをして、彼から離れた。