第22章 絶対間違ってない
「…心して聞け…。…監督が倒れた」
頭の中で何かが崩れる音が聞こえた。
…え?今、なんて…。
「命に別状はないが、もう監督復帰はできないだろう、とのことだ」
「…そん、な」
「この件のことで赤司も呼んでいるんだが、まだ来ていないようでな。探してきてもらえるか?」
監督が倒れた…?
ダメだ、思考が追いつかない。
真っ白な頭のまま、私とさっちゃんはコーチに返事もしないまま走り出し、征十郎を探した。
「いた!赤司君!…とあれ?テツ君!?」
征十郎のクラスには鞄だけがあり、姿は見えなかったので、おそらく体育館だろうと、向かった先で征十郎の姿を見つけた。
その横にはテツ君の姿も。
「桃井と華澄。お前たちもか?」
息を切らして駈け込んで来た私たちを見て、二人は首を傾げる。
「…どうした?もしやもうコーチと話したのか?」
「…それが、監督が…。白金監督が倒れたの…!」
私がそう告げると、征十郎とテツ君は目を見開いた。
そして二人は駆け出し、コーチの元へ向かっていった。
…狂っていた歯車は、修復されることなく、そのまま動き出してしまった。