第22章 絶対間違ってない
その日の夜。
お風呂を済ませた私の携帯が鳴り響く。
着信相手を見れば、なんと珍しいことに真田コーチから。
「何かしら…?」
明日は朝練もないはずだし、緊急の連絡でもあったのかしら、と思いながら通話ボタンを押す。
「はい、藍川です。こんばんわ」
『夜分にすまない』
「いえ、どうしたのですか?」
『明日の朝、HRの前に職員室へきてくれないか?大事な話がある』
「?わかりました」
コーチはそれだけ伝えると、電話を切った。
…緊急なら今言えばいいのに。
一体何の用件だったのかしら…?
*
翌朝。
朝練はないとは言っても、コーチから呼び出された私は少し早い時間帯に校門を潜る。
「カスミン!」
「あら、さっちゃん。おはよう。早いわね」
「うん。昨日コーチから連絡があって」
朝練がないにも関わらず、私と同じ時間帯に登校してきたさっちゃんに挨拶をすると、どうやらさっちゃんもコーチに呼ばれたらしい。
今日から新チームになるということで、新しいメニューでも渡すのかしら?
でも、そんなことでわざわざ朝っぱらから呼び出さなくても…。
そんな会話をしながら私とさっちゃんは職員室へ向かう途中、運よく廊下でコーチと会った。
「コーチ、おはようございます」
「ああ、おはよう」
「おはようございます。それで、私たちに話とは何ですか?」
さっちゃんが問いかけると、コーチは表情を暗くして言った。