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青春あやまち論 【黒子のバスケ】

第22章 絶対間違ってない



それからすぐに夏休みは明け、始業式。

その日の午後には修ちゃんたち三年生の引退式が行われた。

涙なんて誰一人流すことなく、悔いもないように彼らはバスケ部を去っていった。


「修ちゃんがもう引退なんて信じられないわ…」

「お前、さっきからそればっかだな」


引退式の後は部活もなく、私は久しぶりに修ちゃんと帰路についていた。


「だって…」

「バスケ部は引退しても、俺らが従兄妹なのはどーせ変わんねーだろ?」

「そうだけど…」

「……」


私が少し寂しげな表情を見せると、修ちゃんは考え込むようにして空を見上げて言った。


「でも、学校からはいなくなるかもな…」

「?卒業はまだ半年も先でしょう?」

「いや、俺親父についてアメリカに行こうと思う」


え…?


「親父の病気に詳しい医者が向こうにいるらしくてな。十二月にはこっちを立つんだ。だから…」

「待って、私そんなこと聞いてないわ」


十二月って、あと三か月後じゃない。


「叔父さんと叔母さんに華澄には言わないでくれ、って俺が言ったんだ」

「どうして…?」

「…んな顔するってわかってたからだろ。全中終わったら話すつもりだった」


修ちゃんなりの優しさなのかもしれない。

私が悲しい思いをすることが目に見えているから。

全中前に悩ませたくなかったんだろう。


「っまあ、親父にはせめて卒業してからにしろ、って言われてんだけどな」

「…私も伯父さんの意見に賛成だわ」

「お前、ホントにブラコンだよな」

「なっ、それはそっちでしょう?!過保護なくせに…。というより従兄妹よ、い・と・こっ!」

「ハハッ、んな怒んなって!」


修ちゃんは私の頭をいつものように撫でて、先を歩き出した。

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