第22章 絶対間違ってない
「…何ボーっとしてんだよ」
皆の輪の中へ入ろうとしない大ちゃんの頭を修ちゃんがつかむ。
「お前のおかげで優勝できたんだ。もっと喜んでいいんだぞ。行けよ、せめて今だけでも素直になってもいいじゃねーか」
修ちゃんに言われた大ちゃんは、少しだけ笑みを浮かべてコートの皆の元へ駆け寄った。
「修ちゃん!修ちゃん!写真撮ってちょうだい!」
「あ゛あ゛?何でだよ…普通逆だろ…」
「お願い!」
「私からもお願いします!はい、カメラ!」
さっちゃんがポケットから出したカメラを差し出すと、修ちゃんはフッと笑ってそれを受け取る。
「ったく、しょーがねーな。ほら、行け」
修ちゃんに言われ、私とさっちゃんは整列を終えた皆の元へ駆け寄り、コートに並んだ。
「おら、行くぞー?はいチーズー」
この時は、
『まだ間に合う』『やり直せる』
そう信じていた。