第22章 絶対間違ってない
なんとなくあの双子の違和感については、大方予想はついているが、まだ確証がない今、私には何もできることはない。
「全く…。あんたのその気が短い所、どうにかしなさいよ」
「…返す言葉もないッス」
「でも…」
「?」
珍しく落ち込む黄瀬を見て、私も珍しく黄瀬にレモンの蜂蜜漬けを差し出しながら言う。
「まだあんたには出てもらわないと困るのよ。落ち込んでる暇があったら少しでも対策を考えなさい」
「藍川っち…」
あーあー、本当に私の柄じゃないわ。
黄瀬を激励の言葉をかけるなんて。
「もう少ししたらさっちゃんが戻ってくるはずだから、大丈夫よ。第一、まだ試合は終わってないというのにもう諦めるなんて、許さないわよ」
「…フッ。珍しいな、華澄が黄瀬を励ますなんて」
「うるさいわね。征十郎にも同じこと言うわよ?」
少し恥ずかしくなった私は、フイっと黄瀬から顔を背けた。
「…そっスね。ありがとッス、藍川っち!」
「藍ちーん、黄瀬ちんだけじゃなくて俺にもソレちょーだーい」
少しでも、皆が笑ってくれるように。勝てるように。
それが私の役目のはずだから。
だから、いつか大ちゃんとテツ君も…また笑ってくれたら…。
私はレモンの蜂蜜漬けを皆に配りながら、できるだけ笑顔を作った。