第22章 絶対間違ってない
試合は、ダブルスコアで勝ってしまった。
私はスコアを途中放棄したことを征十郎に軽く怒られたが、先程の大ちゃんの様子を見ていれば無理もないか、とそこまで咎められなかった。
「監督!」
皆が控室へ戻った中、私はスコアやケア指示のメモをさっちゃんに預けて、白金監督の背中を追った。
「藍川か、身体チェックはいいのか」
「そんなことより、何故先程の試合で大…青峰を出し続けたんですか!?あそこは一度下げるべきでした!」
「…本当にそう思うのか」
「!」
違う…。
私は間違ったことなんて言っていない。
あの場面で大ちゃんは下げるべきだった。
そうしていれば、大ちゃんはこれ以上傷つかずに済んだし、テツ君もショックを受けることはなかった。
井上さんの気持ちも立て直して、またやりあうことが出来たかもしれないのに…。
「もう一度聞く。本当に藍川は青峰を下げるべきだったと思うのか」
「…あれだけ点差が付いていたんです。下げても問題はなかったはずです」
「そうだな。だが、そんな特別扱いを青峰が好むとは、思えないがね」
「……」
「それと、藍川。選手の身体管理はお前のれっきとした役目だ。そんなことなどとは言うべきではない、早く戻れ」
監督はそれだけ言い残すと、どこかへ行ってしまった。