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青春あやまち論 【黒子のバスケ】

第21章 もう知らない



征十郎が叫んだのが聞こえたのと同時に、ザッパーンと音を立てて私は海の中へ落ちてしまった。

…自分の反射神経と運動神経の悪さを心底恨むわ。

というより、私泳げないんだけど。


「何をやっているんだ」


征十郎は呆れたようにため息を一つついて、海の中へ入り、私を引き上げてくれる。


「大丈夫か」

「…ありがとう」


くっ。藍川華澄、一生の不覚。

只今絶賛喧嘩中の相手を目の前に溺れかけて、助けてもらうなんて。


「…悪かった」

「え?」

「一昨日、華澄を怒ったことだ」


…え、何?

今、征十郎が謝った?え?あの赤司征十郎が?…謝った!?


「え、いや、その…私も心配してくれてたのに…ごめんなさい」


はっ!

私は謝らないって決めてたのに、征十郎が珍しく謝るもんだから、思わず謝ってしまった。


「…華澄は隙が多いんだ。その隙に付け入る輩なんて大勢いる。俺は、いつも心配なんだ」

「……」

「だからと言って、少し言い過ぎた。すまない」


な、何。

この雰囲気。私はどう返したらいいの?


「わ、私も言い過ぎたわ。昨日の朝食も、その、ごめんなさい。だから、もう謝らないで?」


私がしどろもどろになりながらもそう言うと、征十郎はいつものように優しく微笑み、頭を撫でてくれる。


「戻ろうか」


私はコクリ、と頷き、立ち上がった。

が、足首に痛みが走り、上手く歩けない。


「どうした」

「…さっき滑った時に挫いたみたいだわ」

「……」


もう、本当に鈍臭くてごめんなさい!

だからそんな呆れた顔で私を見ないで!

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