第21章 もう知らない
「黄…じゃなかった。りょ、涼君?私のことほっといて、その子たちと遊んじゃうの?」
「「!」」
「え、カスミン?!」
先手必勝。
どんなにこいつが嫌いだろうが、今は征十郎の方が嫌いだ。
私はさっちゃんを追い抜き、黄瀬の着ているパーカーの裾を引っ張りながら慣れない上目づかいをして言った。
さあ、さっちゃんは征十郎の彼女役でもやってなさい。
「えー?何?この子キセリョの彼女?」
「わ、超美人じゃん。やっぱそのくらい可愛くないと彼女は無理だよねー」
ふん、勝った。
”高嶺の華”を舐めないでほしいわ。
それより、桃井さんでしょうか、それとも赤司さんでしょうか。
背中の視線が凄く痛いんですけど。
「藍川っち?!どーしたんスか?!てか、え?俺?!」
「かき氷、溶けちゃうでしょう?はやく行こう?」
「は、はいッス!」
私から手を引かれて、黄瀬は大人しく付いてきてくれる。
それに続いて冷や汗だらだらのさっちゃんと機嫌が最高潮に悪い征十郎も付いて、戻ってきた。
「あ、戻ってきたー」
「おい、黄瀬も赤司もおせーよ。早く食料よこせ」
「は、は、は、はいッス!」
「何故そんなに挙動不審なのだよ」
真ちゃんが黄瀬に尋ねると、黄瀬は私の方をチラッと見る。
「何か用?」
「いや、えっと、なんでもないッス」
「次、私にあんな面倒なことさせたら、覚悟しておきなさいよ」
「お、覚えておくッス」
挙動不審な黄瀬とすこぶる機嫌の悪い征十郎から大量の焼きそばや少し溶けかけたかき氷を受け取り、私たちは昼食にした。