第21章 もう知らない
…いやいやいや、ないないない。
あの、女の執念の渦巻く中に自ら身を投げ込むなど、あり得ない。
「お前ら見た目はいんだし、彼女役でもやって連れて帰って来いよ」
「ふむ、青峰にしては名案だな」
いや、全然名案じゃねーし。
「わ、私は嫌だよ!テツ君以外の彼女なんて、フリでもできない!」
「桃井さん?」
「私だって嫌よ。何が悲しくてあいつらの彼女役なんてやらなきゃいけないのよ」
勿論、私とさっちゃんは猛反対。
だったが…。
「桃井さん、早くしないとかき氷が溶けてしまいます。嫌なことを押し付けているのはわかってますが、お願いします」
テツ君が頭を下げてしまった。
「カスミン!行くよ!」
て、テツ君~っ!!覚えてろよ!!
というわけで、さっちゃんに手を引かれ女の地獄の中へ。
「カスミンは赤司君の彼女役ね、私がきーちゃんをやるから」
「え、嫌よ。今そんなことできるわけないじゃない」
「仲直りのきっかけになるって!それにカスミンがきーちゃんの方やったら、赤司君さらに機嫌が悪くなっちゃうから」
そう言って、さっちゃんは黄瀬を呼び戻そうと、進んでいく。
…正直どっちも嫌だけど。
でも、でも今はそれでも征十郎は絶対に嫌!