第21章 もう知らない
「早かったな。赤司と黄瀬は一緒ではないのか?」
確かに、一緒に買いに行ったはずの征十郎と黄瀬の姿はどこにもない。
このまま消えてくれても別にいいのだけど。
「えー?先に戻るっつってたよー?まだ戻ってきてねーの?」
「ああ。どこへ行ったんだ、あいつらは」
「つーか、早くしねーとかき氷溶けちまうじゃねーか」
ご尤も。
自ら買いに行く、と言い出したんだから責任もってパシられなさいよ。
これだから駄犬だなんて言われるんだわ。
「ねぇ、あれきーちゃんと赤司君じゃない?」
砂遊びをしていたさっちゃんが、テツ君と一緒にこちらへ戻ってきながら、どこか指を指していう。
その指の先には確かに征十郎と黄瀬の姿。
「沢山の女の子に囲まれてますね」
「ちっ、何やってんだよ…」
モデルをやってるだけあって、中身はどうであれ顔はいい黄瀬。
それと中身も顔も完璧…あ、今の中身は冷酷非道か、という征十郎。
二人は沢山の女の子に囲まれ、所謂逆ナンに遭っていた。
「どうするのだ。このままでは俺のかき氷が溶けてしまう」
「ミドリン…。そこはかき氷じゃなくて赤司君たちの心配しようよ…」
「でも、このままだと本当にかき氷が溶けてしまいますね。焼きそばなども冷めてしまいますし…」
「もー俺食べていー?」
征十郎たちの安否はどうでもいい。
ただ、私たちのかき氷が溶けてしまうのは頂けない。
どうするか考えていた時、大ちゃんが口を開いた。
「さつきと華澄で行って来い」
「は?」
「え?」