第21章 もう知らない
三人の姿が遠くなったのを確認すると、真ちゃんは私の方を向き、口を開く。
「藍川、いい加減仲直りをしたらどうだ」
「何よ。真ちゃんは私に謝れって言うの?」
「お前だけじゃなくて赤司にも言ってるっつーの」
大ちゃんもそれに加わり、私に言う。
「お前のせいで赤司の機嫌がすこぶる悪い。そのとばっちりを受ける俺たちの身にもなれ」
「知らないわよ。私だって…」
大ちゃんたちが立ててくれたパラソルの下から、さっちゃんとテツ君が砂遊びをしている様子を見ながら、私は続けた。
「仲直りしたい、とは思ってるわ。だけど征十郎を見ると、一昨日のこととか昨日のこと思い出して、妙に腹が立っちゃうのよ」
「そーいや、昨日お前は赤司とは別々で戻ってきてたな、しかも虹村さんに抱っこされて。何かあったのか?」
昨日、私たちが戻ってきたときは魂の抜けていた大ちゃんは、一応意識はあったらしく、その場面を見ていたという。
「あれは…。征十郎ったら酷いのよ?私を置いて行っちゃうし、怖がってるのも見て見ぬフリ。最終的には私を修ちゃんに預けて戻っちゃうし、信じられないわ」
「へぇ…」
大ちゃんは何か考え込むように空を見上げながら呟いた。
「お待たせー」
と、その時。
あっくんが大量の食料を抱えて戻ってきた。