• テキストサイズ

青春あやまち論 【黒子のバスケ】

第21章 もう知らない



「「……」」


さ、最悪だわ!!なんてタイミングなの!!

私の前に立つ、不機嫌な顔のこいつの手には私と同じ”6”と書かれた紙。

いつもならばポーカーフェイスを装いながらも、内心は喜んでいたところだが、今回は状況が状況なためにそうもいかない。


「赤ちーん、嫌なら変わってよー。俺、藍ちんとがいーし」

「あ、くじの交換とか無しなー」

「げー、まじで…」


あっくんを主とした部員全員にそう言うようにしながら、修ちゃんは私を見る。


「(…は、嵌められた!)」


「じゃー、始めっか」


肝試しは、勿論三年生が脅かす役。

ルールも簡単なもので、この目の前の林の中をひたすら真っ直ぐ進み、先にあるという祠から私たちの私物をとって戻ってくるだけ。

というより、いつ私たちの私物を盗み出したんだ。

三年生は自分の定位置に付き、久保田先輩の声で、一年生から順に進んでいった。


「ぎゃあぁぁあああっ」


林の中からいくつもの悲鳴が聞こえてきた。

二年生に順が回ってくる頃には、先に行った一年生たちが戻ってきはじめていたが、皆ボロボロになっており、今にも泣きだしそうな子までいた。


「よし。やっと、大本命だな」


久保田先輩は満面の笑みで怯える大ちゃんと黄瀬を見た。

なるほど、楽しみは後に取っておくために、わざわざ私たちは最後に回されたのか。


「ま、やられても半殺し程度だから。行ってらー」


久保田先輩に背中を押された二人は、何も声を発することなく林の中へ消えていった。

暫くすると、大ちゃんの悲鳴が聞こえた。

/ 458ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp