第21章 もう知らない
そんなふざけたことは選手だけでやってくれないかしら。
私たちだってそんなに暇なわけじゃないの。
「これは俺ら三年からお前たちへの最後のプレゼントだ。これまで随分と生意気な態度をとってくれたからな。たーっぷり利子つけて返してやるよ」
修ちゃんは口角をニッとあげて言う。
それはもう凶悪犯罪者のような顔だ。
一年生なんかは、ヒイっと怯えた声を上げる始末。
「わ、私は関係ないじゃない」
「馬鹿、関係大アリだ。お前いくら俺と従兄妹だからって、よくも最後まで『修ちゃん』って呼び続けてくれたな。普段のことは目を瞑ったとしても、学校でのお前の数々の生意気な仕打ち、忘れたとは言わせねーぞ」
「…どんだけ根に持ってるのよ」
これはこちらが諦めるまで絶対に引かない。
諦めてなくとも強制的に実行する。
虹村修造というのはそういう人間なのだ。
「いーじゃん、楽しそうだしー?俺、ペアは藍ちんがいーなー」
「お、おう。そーだな」
「青峰君、震えてますけど大丈夫ですか?あと黄瀬君も」
テツ君が言ったのを聞いて二人に目をやると、大ちゃんと黄瀬はわずかながらに震えている。
「大丈夫ッスよ!これくらい!ね?青峰っち?」
「あ、当たり前だろ!」
「んじゃ、早速くじすっか」
強がる二人をよそに、三年生はペアを作らせるためにくじを引かせる。
「黒子は桃井とな。もう決まってんだよ」
「え」
「テツくーん!よろしくねー!」
「う゛っ」
既に決まっていたテツ君がくじを引こうとすると、関口先輩にそう言われた瞬間にさっちゃんはテツ君に抱き付いた。
相変わらずだな…、と思いながら私もくじを引く。
「(…お、6番ね)」
周りを見れば同じ番号の人たちでペアができ始めている。
ちなみに大ちゃんと黄瀬、真ちゃんとあっくん、そのほかの部員もペアで固まっていた。
…ん?あら?ということは…。