第21章 もう知らない
そして、試合が開始されたが、今日の征十郎の荒ぶり方は凄まじい。
自分のプレイ自体は普段通りなのだが、周囲へのあたりが強い。
一試合目を終えた今現在、浜に走り込みに行かされているのは、黄瀬(二回目)、大ちゃん、あっくん、真ちゃん、テツ君。
「藍川!いい加減にするのだよ!」
「お前のせいで、俺らがとばっちり受けてんじゃねーか!」
「お願いだから、赤司っちと仲直りしてくださいッス!」
「藍ちーん、どーにかしてよー」
「藍川さん。このままだと僕が死んでしまいます。いいんですか?」
「だ、ダメだよ!そんなの絶対ダメ!ね、カスミンの気持ちもわかるけど考え直して?」
「……」
皆から苦情が何度もくるが、全部無視。
どうして私にばかり言うのよ、征十郎に言いなさい、征十郎に。
「ちょっと来い」
「え、しゅ、修ちゃん!?」
いつまでもぶすくれた顔で仕事をこなす私を見かねたのか、いや、多分とばっちりを受ける彼らを見かねて、修ちゃんは空き時間に私を連れ出す。
「私、やることがあるんだけど」
「今日の昼飯は作んなくていーだろが。仕事は桃井に任せてる」
ちっ、こんな時に限って。
練習試合の今日は対戦校側のご厚意で、計三校全員に弁当が支給される。