第21章 もう知らない
この不穏な空気は二年生エリアだけでなく、勿論一年生にも三年生にも伝わっている。
「今日が練習試合で良かったのだよ」
「確かにー。あの様子じゃ、赤ちんメニュー倍にしかねないモンねー」
「お前たち、食事くらい静かにとったらどうなんだ」
征十郎は苛立った表情で、唯一食べれそうな米と味噌汁に手を付けていた。
だが、味噌汁に口を付けた瞬間、さらに不機嫌な顔つきになる。
それもそのはず。
いくら嫌いなワカメが入っていようが、普通の味噌汁には征十郎の好物の湯豆腐ともいえる代物が入っている。
が、私がそんな生ぬるいことをするはずもなく、今朝の味噌汁は豆腐の代わりに、麩。
さらには、猫舌の彼のために、彼の分だけ味噌汁は熱々のものを用意した。
「(ふっ、ざまぁ)」
なんて思っていると、征十郎がこちらを睨んだのがわかったが、気づいてないフリをした。
「今日は波乱の予感ッスね…」
黄瀬が小さく呟いた。