第21章 もう知らない
…征十郎と喧嘩をしてしまった。
普段は温厚な彼があそこまで怒ったことは、少なくとも私は見たことがない。
それでも合宿は続くわけであって、このまま気まずいのは流石に私も嫌なわけであって…、いっその事謝ろうかとも思った。
でも今回、私は悪くない。…はず。
「……」
「あらら?赤ちん食べねーの?」
合宿三日目の朝。
一睡もできなかった上に、段々と腹立たしさが沸々とこみあげてきた私は、早朝四時に宿泊所を出て、二十四時間営業のコンビニへ向かい、大量の乾燥ワカメと紅ショウガを買い込んだ。
「皆さん、おかわりもありますから、沢山食べてくださいね?」
そして今日の朝食は、米、味噌汁(具はワカメと麩)、海藻サラダ、紅ショウガ入りの卵焼き、をメインとして簡単な付け合わせ諸々。
「食欲が失せた。飲み物だけで十分だ」
そう。
何を隠そう、今朝のメニューは征十郎の嫌いなものラインナップだ。