第20章 馬鹿っ!
「あいつらの反応を見ていれば気づくだろう。鼻血まで出しているんだぞ」
「き、気づくわけないじゃない。透けてるなんて思わなかったんだもの…」
「やはりお前は馬鹿だ。そもそも、何故今日は何も羽織っていない上に白いシャツなんだ」
「馬鹿馬鹿、って言わないでもらえるかしら。何も羽織っていなかったのは今日は曇りだし、暑かったからに決まってるでしょ。考えたらわかるじゃない」
「曇りだとわかっていたのなら、何故傘をもっていかない」
「雨が降るとも思わなかったの!」
私と征十郎は睨みあいながら言いあう。
「大体、雨に降られたのは不可抗力だわ。それはあの子たちも同じよ。そりゃ…透けてるってことは教えてほしかったけど、気まずくて言い出せなかっただけよ、きっと」
「本当にそう思っているのならば、お前は正真正銘の馬鹿だ」
「だから!馬鹿って言わないでちょうだい!というより、どうして征十郎がそんなに怒ってるのよ!被害者は私なのよ?!恥ずかしくて死にそうなの!わかる?!」
「お前のその思考回路の方が、俺は理解できないな」
「何ですって…?!」
被害者は私なの!
雨に降られ、びしょびしょになって、下着が透けてたことにも気づかずに後輩にそれを見られて、不可抗力だというのに征十郎にここまで言われて…。
あ、でも今日は可愛い下着をつけてたからまだ救われるわ。
…ってそうじゃないの!