第20章 馬鹿っ!
何故彼らはこんなにも慌てふためいているのか。
が、その理由はいくら聞いても教えてはくれない。
「顔が真っ赤だわ…もしかして今ので熱でも出ちゃったのかしら?」
そんなことになったら大変だわ。私のせいで部員が熱を出すなんて洒落にならない。
私は隣に立つ後輩の額に手を当てて、熱を確認する。
「あ、あ、あ、あ、あ藍川先輩!?」
「うーん…熱はないみたいね。でも宿泊所に戻ったら念のために体温計で計ってみないといけないわ…ってあなたまで鼻血?!」
「スミマセン…」
何?鼻血が出るほど熱が高いとでも言うの?
そんなことはなかったように思うのだけど…。
「「「……」」」
少しの沈黙が流れる。
結局生き残っていた一人も暫くすると、タラーっと鼻血を流し始めてしまった。
…一体何なの?さっきから凄く挙動不審。
そんなことを気にしつつも、雨は一向に弱まる気配を見せない。
このままでは夕飯に間に合わない。
「仕方ないわ。このまま走って戻るわよ」
「え!?いいんですか!?こ、これ以上は…」
「早く!夕飯の準備が間に合わなくなっちゃうわ」
私が走り出すと、三人も私に続いて走り出す。
熱があるかもしれない、という状況で彼らをこんな雨の中走らせるのは申し訳ないけど、ここは仕方ない。
私がきちんと後で、見てあげれば問題はないはずだ。
…なんて甘く考えていた私は、この後、とんでもない目に合うことになる。
「もう、びしょびしょになっちゃったわ…。あなたたちはこのままお風呂に行った方がいいかもわね」
「「「……」」」
「…さっきからじろじろと何なの?」
「なんでもナイデス」
どうしてカタコトなのよ。