第20章 馬鹿っ!
合宿二日目。
今日は午後から体育館が使える、ということで午前中は浜練。
天気は少し曇りで、昨日に比べたら皆やりやすそうではある。
「あ゛あ゛ーっ!華澄のせいで筋肉痛だ!!」
…そうでもなかった。
大ちゃんは私を恨めしそうに見る。
「藍川っちー。これどうにかできないっスか?」
「筋肉痛がきてるということは、筋力が上がってる証拠じゃない。良かったわね」
「鬼!鬼がいるッス!」
誰が鬼よ。本当、失礼しちゃうんだから。
「テツくーん!ふらふらしてるけど大丈夫?私が支えるよ?」
「う゛っ、大丈夫です…。というか、そんなに勢いよくぶつかってこられたら余計にふらふらします」
予想以上に昨日の練習が体に来たのか、テツ君はいつもより明らかにおかしい歩き方で浜までやってくる。
「練習が終わったら見てあげるから、ほら行った行った」
「皆ーっ!頑張ってーっ!頑張らなかったら今日のお昼は私が作るよー?」
「うちのマネージャーって本当に鬼畜だよねー」
さっちゃんの言葉を聞いたあっくんは文句を言いながら、部員一同と、体の節々を擦りながらもキビキビと浜へと歩き出す。
自分の料理を餌に出すなんて、さっちゃんもやるわね。
「…皆、そんなに私の料理嫌なのかな?」
「……」
自分がダークマスターを作り出していることをいまだ自覚しないさっちゃんは、首を傾げた。