第19章 優勝する気あるの?
「…といわけなの。どうかしら?」
部員一・二年生の期待を一身に背負った私は、その帰り道にいつものように隣を歩く征十郎に事の次第を伝える。
「…あいつらは全中優勝する気があるのか」
「それ既に私が言ったわ」
私だって、折角の夏休みなのだから少しは遊びたい、という思いはある。
だが、全中を控えている今、それを本当にやりたいか、と聞かれれば、少々悩む。
大体、私は日焼けなんてまっぴらごめんだ。
「そうだな…。まあ、息抜きも必要だからな…一日くらいは…」
「は?本気で言っているの?」
え、何?征十郎も実は遊びたかった、なんて言うわけ?
う、嘘でしょ?
「虹村さんたちも何か計画しているようだったし、少しくらいいいんじゃないか?全中を控えているとは言っても、折角の夏休みだ。それに…」
「それに?」
征十郎はやはり少し呆れたような顔をして続けた。
「あいつらのことだ。海を目の前にして練習に集中するとは到底思えない」
「…その通りだわ」