第19章 優勝する気あるの?
「でも私は焼けるのは嫌なの。大体、これは合宿であって遊びじゃないのよ?」
「藍川さん、僕からもお願いします」
「て、て、テツ君!」
「桃っちー!!」
ペコリと頭を下げるテツ君。
そのあまりの可愛さに倒れるさっちゃん。
それを支える黄瀬。
…これ絶対、ナニコレ珍百景に当選できる光景だわ。
「華澄!テツもこう言ってんだぞ!?お前は鬼かよ!?」
「…どうして私が悪いみたいになってるのよ」
大ちゃんは頭を下げたままのテツ君の肩を抱き、訴えかけるような目で私を鬼呼ばわり。
体育館にいまだ残っている部員も私たちのナニコレ珍百景に、何だ何だ、とこちらの様子をうかがっている。
…もう頭が痛いわ。
「赤司っちを攻略できれば、他も攻略したも同然!赤司っちを攻略できるのなんて藍川っちしかいないんスよぉ」
「ねー、藍ちーん。一生のお願ーい」
一生のお願いをここで使っていいの?
ていうか、いい加減潰れるから離して、あっくん。
「…わかったわ。言ってはみるけど、あまり期待しないでちょうだい」
わざとらしくため息をつきながら答えると、皆の顔がパアッと明るくなり、あっくんは私をギュウッと抱きしめる。
そして側で話を聞いていた部員までもが歓声を上げる始末。
…お前ら、本当に全中優勝する気あんのか。
てか、あっくん。そろそろ私死んじゃう…。