第18章 形無しだわ
その後、桃井家からの了承を得た私たちは、公園へ行き、お約束通り、小さな花火大会。
「ちょっ…!紫っち!こっちに向けないでくださいッス!」
「えー?」
「いいぞ!紫原、もっと行け!挟み撃ちだ!」
「青峰っち!!?」
「お前たち、近所迷惑なのだよ!」
私と征十郎は黄瀬が大ちゃんとあっくんにやられている様子を見て笑っていた。
「赤司っちと藍川っちも笑ってないで助けてほしいッス!」
さっちゃんはテツ君と線香花火をして楽しんでいたようだった。
「あ」
「征十郎?どうかしたの?」
花火を持ちながら、空を見上げて声をあげた隣の征十郎に、私は首を傾げて問いかける。
「ほら、夏の大三角形だよ」
「本当だわ…」
征十郎の指さす方を見れば、天の川とそれを囲う三つの星座。
「ねーねー!皆で線香花火の競争しようよ!」
「いいッスね!」
さっちゃんの提案に、先程まで大ちゃんとあっくんから逃げていた黄瀬が大賛成。
その様子に、私と征十郎はまた笑った。
皆でやった花火は危なっかしくて、うるさくって…。
でも笑いが絶えない、楽しいひと時だった。
私は、きっとこの光景を…征十郎と一緒に見たあの空を忘れないと思う。