第18章 形無しだわ
大ちゃんは征十郎が言っている意味が分からなかったようだったが、やがて征十郎が私をちらっと見たことによって、理解したように頭をかいた。
「せっかくここまで待ったんだ。計画を潰すのは忍びないじゃないか」
「…ったく、しょうがねーな」
大ちゃんはそう言って、黄瀬から携帯を奪い、「ほれ」と言ってさっちゃんに渡す。
…ああ、そういう意味だったのね。
「青峰君?」
「家に電話しろよ。んで、帰りが遅くなるけど、俺が家まで送るっつっとけ」
「…いいの?」
「いいから早くかけろ」
大ちゃんに急かされ、さっちゃんは慌てて携帯を受け取り、家に電話を掛けた。
「楽しそうだね」
「そういう征十郎も楽しそうじゃない。というより、どうしてわざわざ黄瀬に携帯を借りたの?征十郎も持ってるでしょう?」
「充電がないんだ」
困ったように答えた征十郎に私は、「征十郎でもそんなことあるのね」と言って笑った。