第4章 深く考えるのは止そう
「俺はこの先輩に連れてこられただけだけどな」
…前言撤回。
祥ちゃんには迷惑かけてないことにする。
と同時にゴンッと祥ちゃんが頭を殴られた音がした。
「大ちゃん…。その…足は大丈夫なの?」
「あ?華澄がちゃんと冷やしてくれたおかげで何ともねーよ」
「そう…」
絶対嘘だ。
まだちょっとは痛みがあるはずなのに。
あまりの申し訳なさに我慢していた涙が溢れてしまった。
「みんな、ごめんなさい…」
私がそう呟くと、はぁ、と修ちゃんが息をついて、言った。
「ごめんなさい、じゃねーだろ?」
「…ありがとう」
「よくできました」
あまりの優しさに涙が止まらなくなってしまい、征十郎に袖を涙でビショビショにしてしまった。
それでも彼は怒ることなく、私の頭をなでてくれた。
「無事で良かった」
そうとしか言わなかった。
*
その後、無事施設に戻ると、エリカさんは「やっぱりひとりで行かせるんじゃなかった、本当にごめんね」と何回も謝ってきた。
私が悪いので、気にしないでほしい、というか忘れてください。と私も何回も言った。
それでも午後の試合は始まるわけで、いつまでも引きずっていては、また迷惑をかけてしまうため、マネージャーの仕事はしっかりこなした。
大ちゃんの足首も大事には至らず、軽くテーピングだけして、午後もゲームに出ていた。