第18章 形無しだわ
今日って…今日?今日?!
「え?じゃあ、一緒に回れないの…?」
そんなのないわぁ。
折角気合入れて、母にも文句を言われつつも可愛くしてもらったのに…。
私が少し拗ねたような顔をしていると、征十郎は困ったように笑って、私の頭を撫でる。
「すぐに終わらせるから、少しの間待っててもらえるか?」
「…いちご飴買ってくれるのなら許してあげるわ」
「クスッ。了解」
征十郎を待っている間、好きなように見て回っててもいい、と言われたが、流石にそれはこれまでの経験上、不安もあるので、ルールはわからないが、征十郎の将棋を見ていることにした。
*
「あらー?赤ちんと藍ちん。一緒に来たのー?」
夏祭りの会場に着き、将棋の大会まで少し見て回ろう、とブラブラ歩いていた私たちの後ろから聞きなれた間伸びした声がして、私たちは振り向く。
そこには甚平を着たあっくんの姿があった。
「紫原、お前も来ていたのか」
「うん。いっぱいお菓子食べれるしー」
なんともあっくんらしい理由だ。