• テキストサイズ

青春あやまち論 【黒子のバスケ】

第18章 形無しだわ



「浴衣、とても似合ってるよ」


カランコロン、と下駄を鳴らしながら並んで歩いていると、征十郎は私にいつもの笑みを見せながら言ってくれる。


「本当?ありがとう。征十郎も凄く似合ってるわ」

「ありがとう」


征十郎はクスッと笑いながら答える。

そりゃもう、似合ってますとも。”高嶺の華”なんぞ呼ばれる私が霞むほどに。

そんな征十郎にまたも見とれてしまっていると、慣れない下駄のせいもあって、少し躓いてしまう。


「おっと…」


転びそうになる私を征十郎は受け止めてくれる。


「ありがとう…」

「気を付けて」


そう言いながら征十郎は、私の手を握った。


「これは…?」

「華澄は意外にも運動音痴でドジなところがあるからね。もう転ばないように」

「運動音痴はほっといてくれるかしら…」


ハハッと笑いながらもしっかり私の手を握ってくれる征十郎。

私は少し顔が赤くなるのを感じながら、心臓はバクバクと音をたてる。

手からこの心臓の音が伝わりませんように!なんて祈っていると、征十郎が口を開いた。


「…実は華澄に言わなければならないことがあるんだ」

「?」


首を傾げ、征十郎の言葉を待っていると、征十郎は申し訳なさそうな顔をして言った。


「知り合いに頼まれて、将棋の大会に出ることになってしまったんだ」

「うん?いつ?」

「今日」


……。

/ 458ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp