第18章 形無しだわ
夏祭り当日。
私は淡い桃色地に古典柄の浴衣を選んだ。
修ちゃんは白地の浴衣を推していたが、私が「こっちがお気に入りなの」と言うと、「もうどーでもいい」という答えをだして結局この浴衣にした。
「もう、着付けくらい自分でできるでしょう」
「だって、ママにしてもらった方が着くずれしないんだもの」
午前中の練習を終えた私は、速攻家に帰り、征十郎が迎えに来る六時までに、と準備に勤しんでいた。
今は母に文句を言われつつも着付けてもらっている。
「昔はよく修ちゃんたちと行っていたわよね。今年は誰と行くの?」
「バスケ部の人」
「もしかして赤司君?」
「…ええ」
「ふーん…」
「な、何よ」
「べっつにぃ?」
いつも家まで私を送ってくれる征十郎を知っている母は意味深な笑みを浮かべる。
まさか修ちゃんがバラしたのではないか、いや、そんなはずは…と内心冷や冷やしていた。