第18章 形無しだわ
「ま、余裕ぶっこいてるわけじゃねーけど、予選はまず大丈夫だろ」
「そうね」
私たちの本命は全中優勝、二連覇だ。
予選はその通過点でしかない。
だからと言って手を抜いていいわけではないので、私たちマネージャーも予選に向けて敵情視察に身体管理に大忙しである。
「全中が終わったら、修ちゃんも引退なのよね…」
「何だよ。お兄様がいなくなんのが寂しいのか?」
「誰がお兄様よ」
おそらく、先程の私が言った言葉の仕返しだろう。
修ちゃんは、イタズラっぽい顔をして私に言った。
「でも少しだけ寂しくなるかも…」
「ハハッ、素直な奴だな。大丈夫だろ、お前らなら」
修ちゃんは笑いながら、いつものように私の頭を撫でてくれる。
「あ、そうだわ。修ちゃん、浴衣選ぶの手伝ってくれない?」
「あ゛あ゛?面倒くせーな。自分で選べよ」
「いいじゃない。二つあるんだけど、どっちにしようか悩んでるの。少しだけ!」
面倒くさい、とか言いつつも修ちゃんは、私の家に着くなり、私の部屋に上がり込んで、一緒に浴衣を選んでくれた。