第18章 形無しだわ
「へぇー…、赤司と行くんだな。良かったじゃねーか」
気分はこれまでにないほど上がり、部活もいつも以上に頑張ったのが自分でもわかる。
今は、征十郎に頼まれたらしい修ちゃんと一緒に帰宅中だ。
別にいい、と断りはしたが、なんだかんだで面倒見のいい修ちゃんは私の相談ついでだ、と言って並んで歩いてくれる。
「ふふっ。修ちゃんも誰かと行くの?」
「ああ、久保田たちとな」
「どこかで会うかもしれないわね」
「会ったら冷やかしてやるよ。楽しみだな」
「…絶対に会わなくていいわ」
私の気持ちを知り、相談にも乗ってくれる修ちゃんだが、意地悪なところは全く変わらない。
「昔はチビ二人も連れてよく四人で行ったよなー」
修ちゃんは、昔のことを思い出しながら言った。
「なあに?寂しいの?」
「ばーか。漸くお守りが終わってせいせいしてるわ」
そう言って修ちゃんは私の額に軽くデコピンをお見舞いする。
修ちゃんの弟ちゃんたちももう小学生になり、友だちと行くことになっているらしい。
せいせいしてる、と言いながらも、やっぱりその表情は少し寂しそうだ。
「(本当、素直じゃないんだから)」
修ちゃんが面倒見のいいお兄ちゃんってこと、私は知ってるのよ。
従妹を舐めないでほしいわ。それと、軽くでもそのデコピン痛いからやめて。
「…全中予選も、もう都大会だな」
話は夏祭りから、全中予選の話へ変わった。