第18章 形無しだわ
気温は日に日に上がっていき、夏本番を目の前のうだるような暑さの中、皆は練習に励み、全中予選‐都大会に向けてより一層力を入れていた。
先日の大ちゃんの件はまだ根本的には解決はしていないが、とりあえず練習には来ていた。
大ちゃん自身もバスケは好きなので、練習に来れば相変わらず楽しそうにはしてはいる。
このまま以前のように平和な日々に戻れば、と願うしかない。
「夏祭り?」
「うん。終業式の次の日にあるの。華澄ちゃん知らなかったの?」
あと、一週間で一学期も終了し、全中予選ももう間もなく、という今日この頃。
クラスメイトと昼食をとっていたところ、私たちの話題は、終業式の翌日にあるという夏祭りであった。
「あるのは知っていたけれど、終業式の次の日だってことは知らなかったわ」
終業式の翌日か…。
「私、佐々木君と行くんだー!」
「久美ちゃん、誘えたんだ!良かったね!」
クラスメイトの久美ちゃんは、片思いの相手の佐々木君を誘っていくらしい。
私にとってはまず、その佐々木君というのが誰なのかも知らないのだけど。
「私も彼氏と行くの!」
周りの友達が、次々と一緒に行く相手を言っていく中、私にはどうせ関係のないことだな、と私は窓の外を見ながらイチゴオレを飲んでいた。