第16章 やめときな
その後の練習はこれまで以上に順調。先週までのことが嘘のように皆息ぴったりだ。
マネージャーの私とさっちゃんの気合の入りようも十分で、私は予選からその先を見越しての身体管理に集中し、さっちゃんはどこかから入手した対戦表を基に、情報収集を行っている。
「カスミン!初戦の対戦校なんだけど…」
私より情報収集が上手くなった上に、分析も難なくできるようになったさっちゃんは、いまだに何かと私にこうして聞いてくる。
「私より、さっちゃんの方が詳しいんじゃないの?」
「だってまだ不安なんだもん!」
「アハハッ!征十郎も言ってたわ。『最近は、華澄より桃井の方が情報収集が上手い』って」
「本当!?なんか嬉しい!」
さっちゃんは本当に嬉しいように笑った。
「…優勝できるといいね」
「できるわよ。必ず」
才能云々ではなく、こんなにいいチームはきっとどこを探してもないんじゃないか、と思うほど帝光中バスケ部はいいチームだとつくづく思う。
こんないいチームが優勝できないわけがない。
二度目の夏がやってくる。