第16章 やめときな
「それでも自分の信念貫きてーなら、戦って勝つしかねーんじゃねーの」
「…青峰君」
それを聞いていたさっちゃんも、少し悲しそうに大ちゃんを見上げた。
「ところで、藍川」
真ちゃんが、眼鏡をクイッと押し上げながら、私を見下ろした。
「そろそろ赤司たちが戻ってきてもおかしくないのだよ。早く紫原を止めろ」
「…何で私なのよ。そういうのは選手同士でやってちょうだい」
「ばーか。紫原はお前と赤司の言うことしかきかねーよ」
大ちゃんに言われて、確かに…と思ってしまったので、私はまたため息を一つして、コートの真ん中の二人の方へ歩き出した。
「…あっくん、もうやめな」
「はあ?藍ちんにはカンケーねーし。すっこんでてよ」
いつの間にかまた身長が伸び、私より40センチ以上も大きいあっくんに冷たく見下ろされる。
私は、仕方ないな…と、ため息を一つつき、一歩彼らに詰め寄って口を開いた。
「…いい加減にしろよ?つべこべ言わずにさっさと練習再開、出来なければ私がお前の選手生命を絶つ、わかったか」
私は極々稀に出す、低い声で言った。