第16章 やめときな
…あっくんの言いたいことはわかる。
ここの一軍は『キセキの世代』の存在によって、いくら才能があろうと、彼らにはきっと勝てない。現に私はそんな人たちを沢山見てきた。
「…否定はできません。実際、才能や資質というものはあると思います。…けど、実らないとも限らない」
テツ君の言葉にあっくんはより一層、鬱陶しそうに眉間に皺を寄せた。
「あの二人も普段は仲悪くないんスけどねー。つか赤司っちとコーチたちがちょうど外してて助かったっスわ。いたら超ペナルティっスよ、こーゆーの」
黄瀬は、先程練習を抜けて行った彼らのことを思いながら言った。
そして、もしこの場に彼らがいたら…と考えたのか、少し身震いをした。
「こればっかりはしょーがねーことなのかもしんねーな」
大ちゃんが黄瀬に言った。
「なんせあの二人が歩んできたバスケット人生は全く逆だかんな。バスケにさして興味がないにも関わらず、それでも才能に恵まれ勝ち続けてきた紫原と好きでも才能に恵まれず、絶望すら味わってやっと活路を見つけたテツ。そんな二人に同じ価値観持てっつーのが無理な話だ」
大ちゃんの言った言葉に私も思わず俯いた。
それを聞いた黄瀬は指の上でボールを回しながら大ちゃんに言う。
「…はー。で、青峰っちはどっちが正しいと思うんスか?」
「…知るかよ。バスケをどう思ってるかなんて、人それぞれだろ。それを否定しても意味ねーし」
大ちゃんの言葉で、いつだったかあっくんが、「俺はバスケに興味がない。好きじゃない」と言っていたことを思い出して少し心が痛んだ。
「ただ」
大ちゃんは続けた。