第16章 やめときな
帝光祭の終わり、全中の予選が着々と近づいてくる今日この頃。
去年と同様に白金監督の練習は、これまでの練習がお遊びに感じるかのような厳しさで、マネージャーの私たちも大変だ。
そして、先日の試合において、とうとう黄瀬はスタメン入りを果たしていた。
くっ、どこまでも憎たらしい奴だわ。…なんて思いながらも、どこか一安心したような自分もいた。
「征十郎?どこへ行くの?」
「ああ、ちょっとコーチたちと話があってね。少しの間席を外す。その間、練習を頼むよ」
「修ちゃんも行くの?」
「ああ」
「そう、わかったわ」
そう言って、現主将の征十郎と元主将の修ちゃんは練習を抜けた。
さっちゃんも今日は今度二軍は試合があるから、ということでそちらの方へ行っていて不在だ。
「~っ」
「え?ちょ、ちょっと…どこへ行くの?!」
普段通りに練習を見ていると、昨日二軍からあがってきたばかりの二年生がひとり、泣きそうな顔をしながら体育館を出て行った。
「真ちゃん?何が起きたの?」
私は近くに立っていた真ちゃんに何が起こっているのか尋ねた。