第15章 これが恋というものか
「お疲れ様」
「あ、征十郎」
なんとか写真の行列を全て処理し終え、疲れ切った私の元へ征十郎がやってくる。
一応実行委員であるにも関わらず、彼は一日中ボードゲーム部の出し物に参加し、片っ端から潰していったという。
なんて末恐ろしい奴なんだ。
「二連覇おめでとう。とは言っても、俺は華澄がグランプリだとわかっていたけどね」
「何?汚い手でも使ったの?」
「そんなわけないだろう、お前は俺を何だと思っているんだ。あくまで俺の確信、かな」
「あらそう」
そう言いながら征十郎は私にイチゴオレを渡した。
私の一番好きな飲み物だ。
さりげなくそういうことをしてくるから、本当に彼には敵わない。
ちょっと、胸がキュンとした。
「(これが恋というものか)」
私は征十郎に「ありがとう」と言い、それを受け取って彼の隣を歩く。
「これからどこへ行くの?」
「紫原に景品のお菓子を渡す約束をしているんだ。華澄も行くか?」
「行くっ」