第15章 これが恋というものか
「私、クラスの手伝いしないといけないから。また午後に」
「うん!じゃーねー!」
優ちゃんと別れ、教室へ戻っている途中で、私の足はとあるところで止まった。
『大将棋大会! By将棋部』と書かれたポスターの貼ってある教室。
と、それを覗くさっちゃんの姿。
私もそっと教室を覗くと、案の定征十郎がいる。
私が覗くと同時に、パチッと音をたてて征十郎が駒を打った。
「へ?ああっ!?参りました…」
どうやら征十郎が勝ったようだ。
まあ、彼が負けるところなんて想像もつかないのだけど。
ギャラリーからは様々な感嘆の声が上がっており、何でも彼は現在五人抜き中らしい。
隣のさっちゃんも私に気づくことなく、驚きの表情を浮かべている。
「…本当に何やってるのかしらね」
「え?あ、カスミン…!…わあ。その恰好、すっごく可愛い!」
「どうも」
私がボソリと呟くと、漸くさっちゃんは私に気づいたらしく、私の普段とは少し違う姿をまじまじと見る。