第15章 これが恋というものか
「…私のことはいいから、自分のことをやったら?グランプリ狙ってるんじゃないの?」
「そんな滅相もない!」
私が訝しげにそういうと、彼女は顔の前で両手を振り、首までブンブンと振る。
「グランプリは確実に藍川さんでしょ!」
「わからないわよ」
「いいや、絶対だね。藍川さん美人だし、頭いいし、なんか上品な雰囲気だし…あと、バスケ部の名マネージャーだし!」
誰がそんなこと言ったんだ。
「私、藍川さんに憧れてるんだー。だから一年の時から仲良くなりたいな、と思ってたんだけど、正直近寄りがたいっていうか、オーラがあるっていうか…。本当に”高嶺の華”って感じでさ」
彼女は私の短い髪を丁寧に巻きながら独り言のように言い続ける。
「そうしたら、今年ミスコンに出ない?って誘われて。これは藍川さんと仲良くなれるチャンスだと思ったんだー」
「そんな理由でエントリーしたの?」
私が呆れた顔で尋ねると、彼女は頬を少し赤く染めて照れたように、えへへ、と笑った。