第15章 これが恋というものか
帝光祭当日。
私は朝から、クラスの手伝いに手を追われていた。
私がいる内にできるだけ作り置きをしておこう、という魂胆だ。
「ちょっと、少しは自分たちで作りなさいよ」
「そんなこと言わないでよ、”高嶺の華”様ー。クラス全員で投票するからさー」
「次”高嶺の華”なんて呼んだら怒るわよ」
別に今年もグランプリをとりたいわけではない。
そりゃ、取れれば嬉しいことは嬉しいが、その度に周囲からの私への幻想がさらに膨れ上がるわけであって。
バスケ部の面々こそ知ってはいるだろうが、私は”高嶺の華”なんぞ呼ばれるようなたまではない。
だが、呼ばれてしまえば、それなりにその躰を装わなければならないから、面倒だ。
「ああ、こんな時間だわ。私行かなくちゃ」
「いってらっしゃーい」