第15章 これが恋というものか
「征十郎は明日何をするの?」
「俺は実行委員だから、主に巡回をしなければならないんだ」
「クラスの手伝いもしないの?」
「ああ」
そう言えば征十郎は去年も実行委員をしていたため、帝光祭の準備期間はほとんど教室にいなかった、ということを思い出した。
まあ、私もほとんどいなかったのだけど。
「実行委員も大変なのね」
「そうでもないよ。将棋部が将棋大会を開くらしいから、巡回のついでに寄って行こうかな、と思っている」
「うちの将棋部って強いの?」
「さあ?」
私の問いに征十郎は怪しげな笑みを見せて目を細めた。
あ、これはぶっ潰してくるつもりね。
「程々にしなさいよ?可哀想だから」
私がそう言うと、征十郎は「心配ないさ」とさらに目を細めて微笑んだ。
「(いや、あんただから心配なんだけど…)」