第15章 これが恋というものか
六月某日。
明日は帝光中学校の創立記念日であり、皆が待ちに待った帝光祭。
つまり、今日はその帝光祭の前日だ。
「わお。やっぱ藍川さん料理上手いね」
「そうかしら?普通だと思うんだけど」
「またまたご謙遜をー」
今、私はクラスの出し物の焼きそば店『毒舌 ヌードル』の最終確認の最中だ。
正直、このネーミングセンスは如何なものかと思ったが、クラス委員曰く、普通の焼きそばでは何の面白みもないらしく、どうせなら激辛焼きそばを作りたいらしい。
勿論、普通の焼きそばもあることはあるし、激辛でも激甘でもどうでもいいのだが、『毒舌』の意味がさっぱり分からない。
「ここにレシピ置いておくから、明日はこれ見て作れば同じものができるはずよ。朝の内にできるだけのことは手伝っていくし」
一日中手伝いたいのは山々なのだが、ミスコンに出なければならない私はそうもいかない。
というわけで、現在は私の作ったレシピを基に、調理班と最終練習中。
「でもさ、レシピ通りに作ってはいるんだけど藍川さんの作ったやつほどは美味しくできないんだよねー」
「そんなことないわよ。こんなの誰が作っても同じよ、同じ」
私のレシピがあるから、とは言わないが、クラス委員をはじめとする調理班だってなかなか美味しいものができていると思う。